🔍 『日本神話』とは何だったのか?


先の解説の通り『古事記』や『日本書紀』がやろうとしていたのは、

功績ある人々のエピソードを〝天の神様の名〟を拝借しながら物語化し、栄誉を残すための記録

でした。 作中に『伊邪那岐イザナギ』とか『天照大神』といった神名で出てくるから、まぎらわしくなってますが、

実際に『古事記』に描かれてる内容は『天界の神々のお話』ではなく、天皇家にまつわる『歴史上の事実』を、神話風に、風刺を織り交ぜて記録したもの。

天皇家の歴史やその側近たちの偉業を〝神様の名〟を用いて語ることで、歴史の偉人として語り継がれることを目的としたわけです。
テーブルデザインピンク2行 それって、天皇家の権威づけとか 人民の思想教育が行われてたって事?
その事実はなかったようです。 それというのも、物語の中身を見ると『天皇賛美』・『道徳教育』・『思想教育』といった、都合のいい権威強化の要素は特に入ってないのです。 (むしろ『素戔嗚尊』の懲罰記録がデカデカと!) これらの物語が作られた主な目的は、『古語拾遺』第35書 に書かれているように、内部功労賞。巨大な社史編纂でした。 せっかく作ったものだからと、土地の〝語り部〟に降ろして、この話を語り継がせてはいるものの、それも、思想メッセージを根付かせるものではなく……

『内部功労の伝説』をゆかりの地に降ろした結果『その氏族の子孫達』が、自分たちの家名に誇りを持って、気持ちよく天皇家に遣えられるように……

というのが、主な意図だったのではないでしょうか? そう考えた条件のときだけ、全てのつじつまがピタッとハマるのです。   ・    ・ 

🎓 八百万やおよろずの神も、誤解されてることの1つ

実は、神話への誤解はほかにもあって…… 一般の人の持つ、神々の世界と、神話時代の古代日本 のイメージはこんな感じだと思います。

天界には高天原という、巨大な天上都市があって、その地には『八百万やおよろずの神』が存在している。それが〝天津神〟 この神々の中から、一部が地上に降臨されて、日本の発展を助けた。それが〝国津神〟 〝国津神〟は、天照大神&素戔嗚尊とか、大国主神、天宇受売神アメノウズメといった、神話で名前が出てくる神様たちのこと。 その中で、伊邪那岐イザナギ神は〝国津神〟の祖神として、たくさんの神をお生みになられた(高天原から呼び寄せた)。 だから、イザナギ&イザナミは神々の中でも特別。長女である天照大神も。

だいたい、こんな感じのイメージを持っていると思います。   ・    ・  でも実は『古事記』を訳したときに〝八百万やおよろずの神〟なんて表現は、原文のどこにも記載がなかったと言ったら、驚きますか?
テーブルデザインピンク2行 えっ? そうなんですか?
目を皿のようにして、探しましたよ! パソコンの「テキスト検索」モードが。 訳し終えた後、 「あれ? そういえば〝八百万やおよろずの神〟なんて表現、どこにもなかったぞ。八十神やそがみなら、出雲の兄神たちの数として出てきたけど……」 と気がついて、試しに「原文を全検索」してみたら〝八百万やおよろずの神〟なんて表現、どこにもなかった。 『古事記』の中で、神々が大集合するシーンとして有名なのは、天岩戸のエピソードでの対策会議です。 天安河原あめのやすかわに全員集合して、すったもんだの対策会議! そこですら、記載はなかった。   ・    ・  話は逸れますが…… 『天安河原あめのやすかわ』で会議を開いた と聞くと、大勢集まりすぎたから、広い河原に皆が集合して、屋外会議をしたのかな? と思うでしょう? 違います!

天安河原あめのやすかわ』とは『天の川』のこと。 同じ川でも、夜空の川。つまり、『銀河の星の帯』のこと。

  ・    ・  神話とは、そういうものなのです。 ちなみに『七夕たなばた伝説』に関連するエピソードは
・ 天の川天安河原あめのやすかわのこと) ・ 笹の葉に飾る(願いを書いた短冊、装飾等) ・ 織り姫(天岩戸開きの対策で活躍した、天棚機姫神アメノタナバタヒメ ・ 彦星(天岩戸開きの対策で活躍した、天兒屋神アメノコヤネ
これらがあげられますが、これらは『古語拾遺』第7書に載ってる『天岩戸の対策』が元ネタです。 あの『天岩戸隠れ』は、歴史的事実だったのです。

神話では『天照大神がヨヨヨと岩陰に隠れた』ことになってますけど、実は火山噴火による、噴煙の太陽光遮断で真っ暗になった……。

それに対して「神の怒りだ! 大変なことになった!!」 とビビッた当時の皆々が、緊急国家プロジェクトとして『鎮魂の儀』の準備をしたのが『天岩戸伝説』の真相です。 先の「サンタクロース伝説」の魔改造の話のように、元ネタとは全く違う形が、後世に引き継がれてるわけです。 『天岩戸伝説』にしても『七夕伝説』にしても……   ・    ・  話戻って〝八百万やおよろずの神〟ですが…… あの誤解の元は、『天津祝詞』にあるのです。 「八百万やおよろず」というのは、文字通り数えたわけではなく、「数えきれないほど多い」という意味で使われてるのですが、誤解の原因はコレ!!
天津祝詞あまつのりと

高天原にたかあまはらに 神留まり坐すかむずまります 神漏岐・神漏美のかむろぎかむろみの 命以てみこともちて 皇御祖神すめみおやかむ 伊弉諾大神イザナギのおおかみ 筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原につくしのひむかのたちばなの・おどのあはぎはらに 御禊祓みそぎはらひ 賜ひし時に生ませるたまいしときにあれませる 祓戸大神等はらいどのおおかみたち 諸々の枉事罪穢をもろもろのまがごとつみけがれを 祓ひ給へ清め給へとはらいたまえきよめたまえと 申す事の由をもうすことのよしを 天津神、国津神、八百万の神等共に聞し召せとあまつかみくにつかみやおよろずのかみたちともにきこしめせと 恐み恐み申すかしこみかしこみもまをす

〝八百万の神〟の誤解は『古事記』ではなく、神道の祝詞に登場するフレーズから来ているのです。 ちなみに『天津神』『国津神』『八百万の神』とは本当は何を指すか? というのは、『大祓詞』の 解説編その1 の方で説明しています。
神話の解釈とは、数々の誤解の上に成り立っているのです
正しく伝わっていることは、何一つないのではないか? というくらい、訂正すべき箇所だらけ……   ・    ・ 

そもそも『古事記』も『日本書紀』も、書かれているタイトルは、『古事記ふるきことぶみ』と『日本書紀ニホンのれきをしるす』なので、『天界の神様のお話』として書く意図なんて、最初からサラサラなかったのです。

『古事記』や『日本書紀』がやろうとしていたのは、
天皇家の系譜や側近たちの功績を、神話風に編み上げた 関係者の功を録す『神名録』
内部事情を知る、宮廷の側近が、ハッキリそう書いてましたよ! 「従五位下」官位 斎部宿禰廣成いんべのすくね ひろなり (奈良・平安時代)による『古語拾遺』第35書に、ハッキリ書かれているのです。 NEXT古事記ふるきことぶみ』の謎解き編!!(その3)










対面Session



Amazon



SNS

↑