🔍 日本神話の謎に挑む『古事記こじき』の訳




【古事記・原文と直訳】

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於是 天皇詔之 朕聞 諸家之所賦『帝紀』及『本辭』 既違 正實 多加 虛偽  當 今之時 不改 其失 未經 幾年 其旨 欲滅

於是 天皇 勅を下し給ふ 「朕 諸家の所蔵す『帝紀』及び『本辞』 既に真実を失い 虚偽多く加へしと聞く 今 改まざれば 幾歳を経ずして その志は滅びん」


斯乃 邦家 之 經緯 王化 之 鴻基 焉 故惟 撰錄『帝紀』討覈 『舊辭』 削僞 定實 欲 流後葉

是 邦家の経緯 王化政治の基盤なり 故に 『帝紀』新たに選し 『旧辞』は正し 偽りは削ぎ 真を定む これを後世に伝えんと欲す


時有 舍人 姓 稗田 名 阿禮 年是 廿八 爲人 聰明 度目 誦口 拂耳 勒心 即 勅語 阿禮 令 誦習『帝皇 日繼』及『先代 舊辭』 然 運移世異 未行 其事矣

時に舍人あり 姓は稗田 名は阿禮 廿八歳 聡明なり 目を以て判じ 口にて誦ひ 耳にて理解し 心を以て記す 勅を以て阿禮に命じ 『帝皇の日継』 及び『先代の旧辞』を誦習せしむ 然れども 時は移りし世も変わりて 未だ其の事を行はざりけり

テーブルデザインピンク2行 なんか表現が古くありません? いつものように、訳してくださいな
このままでは、よくわかりませんよね? 以下は、【原文】の現代訳バージョンになります。
🔱 『古事記ふるきことぶみ』上巻 (序文 その4) 「従五位上」官位 太 安万侶おおの やすまろ (奈良時代)

マロっちゃんこと 太安万侶おおのやすまろ が、序文の続きを語りますわ。この『古事記ふるきことぶみ』の書を書くにあたった理由の話やで。


ある日陛下が、「マロっちゃん、ちょっと来てくれへんか?」 ってワテこと安万侶呼びつけてな、大事な話があるってんで。 マロちゃん、ドキドキよ。愛の告白ちゃうか? って。 そしたらな、陛下が恋しとったのは、歴史のほうやった! なんや、マロちゃん、ちゃうんかい!

「今までの『帝紀』や『本辞』はもう、間違いだらけでアカンわ。 うちの先祖、賛美しすぎなんもええけど、ホンマのところ知りたいねん。 ちまたの口伝伝承もおかしな話ばかりで、何がホントかようわからんわ。 マロっちゃん、この間違いな、これ以上放っといたらアカン。今この時に直さなアカンのや。 ……てなわけでよろしょう〜!」

マロちゃん、そりゃもうビックリや。 そんなん言われても、どないすんねん? ってなるやんか。 せやからマロちゃん、『歴代天皇記』とか『王道政治を支える神話風記録』とか、調べ直しましたわ。 テキトーなもの作ったら、マロちゃんの首がビューンって飛んでくさかい、ちゃんとした『帝紀』作り直すために、古い言葉は意味調べてな、偽り(意図的な脚色)取り除いて、ホンマのカタチに近づくようドーッと走り回ったんや。 でもな、マロちゃん一人じゃキツイやろ? そんで登場するのが、稗田阿礼ひえだのあれ。 この28歳のイケメン、頭キレっキレ、目は鷹のよう、口も達者、記憶力抜群。乙女の心にバッチリ刻みこまれるタイプや。 そんで、ひえだのアッちゃんも陛下から、同じく死刑宣告受けたんやわ。

帝皇の歴史とか旧辞の資料読み込んで、全体像も把握しながら、アッちゃんの知ってる口伝伝承の中身まとめえ〜な!

って命じられたんやけど、アッちゃん大役にブルブルや。 話聞いたらアッちゃん、字ぃ読めへん言うしな。 読み書きでけん状態で古文書渡されて、どないせえって? 「時代がようけ変わって、世の中も変わってきてはるなかで、全部は無理やわ〜」 て泣きついてくるさかい、そこんとこ、奈良公園の鹿せんべえあげて、エサで釣って、なだめすかしましたわ。

🎓 『古事記』を理解する、分かりやすい解説

『古事記』は『日本各地から集められた神話伝承』の内容をまとめたもので、この大事業は、稗田阿礼ひえだのあれ が記憶していた、各地の民間伝承を、太安麻呂おおのやすまろ が文字起こしをして記した。

……とされています。
テーブルデザインピンク2行 あれ? なんか微妙な言い回し…… 本当は違ってたりするんですか?
その解釈は間違いでした。 『古事記』を初めて詳細に研究したのは、江戸時代の国学者の、本居宣長もとおりのりなが 。 そして、間違った答えに行き着いてしまった。

古語は、使われる文字も言い回しも難解で、現代人から見ると意味不明の暗号なのですが、それは、江戸時代の人が見ても、やはり同じだった。

漢文形式の古文の解読は、江戸時代の文体とも違い、誰にとっても困難だった。 だから、それまで誰もが『古事記』の訳を避けてきたところ、本居宣長もとおりのりなが が初めてぶつかりにいったのです。   ・    ・  そして、彼が訳を試みた結果、

「大変なことだ!! これは日本の神話が記されている! 古代の神様の記録が記されている!」

という発見に至って『古事記』に光が当たり、その後、明治、大正、昭和… と後に続く学者たちも、研究を費やしてきたわけですが……。
その解釈は、間違ってた!
おそらく一番最初に訳した、江戸時代の国学者、本居宣長もとおりのりなが の解釈が後世の研究者たちの『先入観』となって、後に続く研究者に『誤解が遺伝』されてしまったのでしょうが…… 原文にハッキリこう書いてありますよ!!
【答えがここに書かれてる】

斯乃 邦家 之 經緯 王化 之 鴻基 焉 故惟 撰錄『帝紀』討覈 『舊辭』 削僞 定實 欲 流後葉

是 邦家の経緯 王化政治の基盤なり 故に 『帝紀』新たに選し 『旧辞』は正し 偽りは削ぎ 真を定む これを後世に伝えんと欲す

関係者同士では、『神話』という認識は、はじめからなかった。 みんな稗田阿礼ひえだのあれ のエピソードに気をとられて、大事なところを見落としていた! 稗田阿礼ひえだのあれ のエピソードを、あからさまにプッシュしていたのは、何かを隠すための心理誘導だったのです!   ・    ・  では、隠そうとした真実は何か? 多くの人が『古事記』のことは『日本神話』をまとめたものとして見ています。古代の神々の記録だと。
テーブルデザインピンク2行 私もそう思ってましたけど 違うんですか?

『古事記』は本当は『日本神話』をまとめたものではないのです。 実際の内容は、古代天皇たちの偉業を『神話風』に讃えた記録。

その証拠に『日本神話』の中身には〝神様の顕現エピソード〟とか〝ご神託の中身〟などの、本物の神話の話が、ほとんどないでしょう? NEXT古事記ふるきことぶみ上巻かみつまき 序文 その5










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