🔍 古語拾遺の完全訳
【原文と直訳】(伊勢宮司)
天照大神 本 與帝同殿 故 供奉之儀 君神一體 始自天上 中臣齋部二氏 相副奉日神 猨女之祖 亦解神怒 然則 三氏之職 不可相離 而 今伊勢宮司 獨任中臣氏 不預二氏 《所遺三也》
天照大神は 帝と同じ殿に居られる 故に 供奉の儀は 君と神が一体となり 天より始まる 中臣氏と斎部氏は 日神に仕え 猨女の祖も神の怒り(火山噴火・天岩戸のことを指す)を解く 然れども 三氏の職は 互いに離れず しかし 今の伊勢宮司は 中臣氏のみに任せ 他の二氏預からず 《これが遺憾の三つ目なり》
なんか表現が古くありません? 私の頭では、意味がよくわからないです…… |
最初の頃は、太陽神であられる天照大神は、天皇と同じ殿堂で崇拝されておりました。 このため、天照大神への奉納儀式は、天皇と神が一体であるという深い理解のもとに執り行われていたのです。 この慣習は、天界から始まったとされ、非常に重要な意味を持っております。 中臣族と斎部族は、天照大神の奉仕において共に協力しておりました。 また、猿女の祖先も、神の怒り(火山噴火・天岩戸のことを指す)を鎮める重要な役割を担っていたのです。 これら三つの氏族の役割は、互いに密接に結びついており、分けることはできません。 しかしながら、現在の伊勢神宮の宮司の地位は、中臣族のみが独占しており、他の二族はその役割から排除されている状況でございます。 これは、歴史的な役割分担と伝統を軽視する重大な見落としであり、3つ目の深い遺憾として捉えております。
📼 作者の斎部廣成 一人語り風
陛下のお耳にぜひとも届いてほしい「中臣」の功罪についてでございます。 神代の昔から、中臣と斎部は共に神事に奉仕してまいりました。 両氏族とも、神々への奉仕においては、遜色のない役割を果たしておりました。 しかしながら、時が経つにつれ、「中臣」の方々だけが、なんとも権力を増してらっしゃるのですな。 〝中臣鎌足〟を祖とする、藤原不比等様が、天皇家との縁戚関係を深めてからというもの…… どうも、他の氏族や、古くからのしきたりを軽んじ、徐々に「中臣」のみに権力を集めているようで、これが私どもには少々心配の種でございます。 このまま藤原一族が、天皇家の権力を削ってしまうのではないか? と。