🔍 古語拾遺の完全訳


文武天皇の治世(在位697年~707年)に、大宝律令が制定されました。

大宝律令は701年に制定された、日本の法律体系や行政制度を整備するための重要な法令で、刑法や民法のほかに、官僚制度の基礎も確立されました。

このときに、官位や姓の制度も体系化されました。

今回の書 に出てくる階級制度としての、特別なかばねは、家系や血統に基づく社会的地位を改め、政権に対する貢献に基づいて、貴族の姓(身分を示す称号)が毎年変動するものでした。

このような改革は、今まで先祖の功績に守られてきた家柄の貴族にとっては、なかなかダメージの大きい改革でした。

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【原文と直訳】(氏姓制度)

至于淨御原朝 改 天下萬姓 而分爲八等 唯序當年之勞 不本天降之績 其二曰 朝臣あそみ 以賜 中臣氏 命以大刀 其三曰 宿禰すくね 以賜 齋部氏 命以小刀 其四曰 忌寸いみき 以爲 秦漢二氏 及 百濟文氏等之姓  《蓋 與齋部共預齋藏事 因以爲姓也 今 東西文氏 獻祓太刀 蓋亦此之縁》

淨御原朝 天下の民を改め 八等に分ける 年功を基にせず 天授の業を根とせず 二等目「朝臣あそみ」 中臣氏に与え 大刀を授く 三等目「宿禰すくね」 齋部氏に与え 小刀を授く 四等目「忌寸いみき」 秦漢及び百済の文氏等に与える 《これ 齋蔵の事に預かるため 姓として授けられたなり 今 東西の文氏 祓の太刀を献げ これもまた縁なり》

テーブルデザインピンク2行 なんか表現が古くありません? 私の頭では、意味がよくわからないです……
このままでは、よくわかりませんよね? 以下は、【原文】の現代訳バージョンになります。
古語拾遺こごしゅうい』第3部 (氏姓制度) 「従五位下」官位 斎部宿禰廣成いんべのすくね ひろなり (奈良・平安時代)

淨御原朝の御代文武天皇の治世のこと)に、国内の全ての姓が新たに定められ、八つの等級に優雅に区分けされたのです。 この格付けは、その年ごとの貢献を基にするもので、今までのような先祖の功績による家名制度ではないとのこと。 第二の階級は「朝臣あそみ」と称され、この栄誉ある姓が中臣氏に授けられ、大刀が贈られました。 これは、彼らの高貴な地位と責任を象徴するものでございます。 続いて、第三の階級は「宿禰すくね」と呼ばれ、齋部に与えられました。齋部家には小刀が贈られ、これもまた齋部家の役割と身分を示すものでございます。 そして、第四の階級は「忌寸いみき」とされ、秦氏、漢氏、百濟文氏などの、齋蔵(神聖な物を保管する場所)の事務に関わる、海外王族由来の方々に、この貴い姓が与えられました。 これらの氏族は、朝廷における特別な役割と責任を担うため、この姓を授かったのでございます。 また、現在の東西の文氏は、はらえの象徴である、太刀を献げる役目を持っています。 これは、彼らが古くから祓いの儀式に関わっていたことに由来するものです。

📼 作者の斎部廣成いんべの ひろなり 一人語り風

昔々、淨御原朝、すなわち清原朝きよはらのみかどの時代に『大宝年間』という時代がございましてな。 この『大宝年間』に、政治的、法的、文化的な変革が急速に進み、あらゆる意味で、日本の歴史において重要な転換点でございました。 この時、天下の万姓、つまり国民全体の身分を改め、八つの階級に分けたという内容でありますな。 この制度では、天授の業績、すなわち先祖から授かった家柄の功績を基準にしておりませぬ。 第1位は「真人まひと」 「真」は、本物の… という意味を持ち 「人」は、人物を表しますな こちらは、最高ランクの特別なかばねのため、変動制のかばねの対象外とありまして、この称号は、物部守屋もののべのもりやなど、皇室の血縁者(あるいは皇族と同等扱いの貴族)に与えられたものでございますな。 第2位は「朝臣あそみ」 「朝」は、皇室や宮廷(公的な集会や儀式)を意味し… 「臣」は、君主に仕える臣下のことを指しますな。 第3位は「宿禰すくね」 「宿」は、定まった場所に留まることを意味し… 「禰」は、祖先を祭る神聖な場所や祭祀を行う責任を持つ人を指す言葉。 第4位は「忌寸いみき」 「忌」は〝避ける〟という意味で、本国の追っ手から逃げられた王族・貴族の意。 「寸」は、古代中国での長さの単位で、ここでは、特定の役職や身分を示す尺。 秦氏や漢氏は、中国大陸からの移民の子孫であり、百済文氏は朝鮮半島からの移民の子孫でございます。 移民時の元の身分が調査されていた「移民記いみき」が語源ですな。 ここまでが、幹部クラスの貴族で、政権の意志決定(幹部会議)にかかわることが出来る身分でございました。 そこから下の第5位は中級貴族となり、ここからは平社員扱いですな。

🎓 『古語拾遺』を理解する、分かりやすい解説

『大宝年間』は、政治的、法的、文化的な変革が急速に進み、国内の全てのかばねも改められ、八つの等級に分けられました。 今までは、冠位のランク分けは天から授かった先祖の功績を元に決められてました。 家柄が全てを決める! 個人の能力は関係ナシと。 ところが、この頃の時代になると、家柄に基づく階位と実務能力の乖離が大きくなり、さすがに旧制度は限界。 今回のランク分けから、その年の労働に基づく形となり、毎年階級が変動するようになったのです。
 階級  八つの 等級 特徴
第1級 真人まひと 最高位の姓 皇族やその血筋に近い者
第2級 朝臣あそみ 中臣氏 古代からの最上位側近。 大刀が贈られた
第3級 宿禰すくね 齋部氏 古代からの幹部。創業メンバー。 小刀が贈られた
第4級 忌寸いみき 秦氏、漢氏、百濟文氏など。海外由来の幹部。
第5級 むらじ 豪族や有力な地方の支配者。子会社社長。
第6級 おみ 行政の貴族や官僚。中間管理職。
第7級 とも 宮廷や地方の行政の官人や技術者
第8級 宿禰すけ 地方の有力者や地方行政を担う者 (宿禰すくねとは別)
この中で、第4の階級までは特権階級。 貴族間の中でも、ここから上の番付は「小結」・「関脇」・「大関」・「横綱」クラスで、同じ貴族でも「十両」や「前頭」との階級の差は、圧倒的なものがありました。 そして第4番目の冠であった彼らは、王族の末裔や貴族達ばかりでしたから、いずれも朝廷に仕えました。 この彼らの子孫達が土地の豪族に収まると『カタカムナ』で言及される、田畑の土地権力者〝シナツヒコ〟となったわけです。
氏族名 説明
はた 中国の秦の始皇帝の子孫を自称する貴族。 特に技術者や職人として朝廷に仕えた。
漢氏あやうじ 中国の漢民族の出身者とされる貴族。 中国の儒学や文化を伝えた人物も数多くいた。
百済文くだらふみ 朝鮮半島の百済から渡来した貴族。 百済の王族や貴族の子孫であると自称し、朝廷で高い地位も。
この中のはた氏系の勢力…… 古墳の起源は、中国の秦の始皇帝「兵馬俑」ですから、その始皇帝の子孫と称するモノが、日本の地にレプリカを建てまくったのです。 そしてもう一つ。 海外由来の文才のあるモノが日本の地に降り立ち、朝廷に遣えたということは…… いよいよ『古事記』や『日本書紀』等の記録文書の話につながります! NEXT『古語拾遺』第3部 記録文書の作成








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