🔍 日本神話の機密をポロリ『古語拾遺こごしゅうい』の訳


今回は、『古事記』のはじめにある 『天照大神&素戔嗚尊の対決シーン』の原形です。
こちらが初期バージョンで、『古事記』の方では、このバージョンを基に話が拡張されたのですが…… 『古事記』側ではどんな描かれ方か? 初期構想の時は、『天の安河アメノヤスカワ』での対決シーンはなかったようですね。 すぐ右下の  リンクから、『古事記』の該当記事 に飛べますので、両者を見比べてみると、どの部分をどう変化させたか? わかりますよ。   ・    ・ 
【原文と直訳】(素戔鳴神)

於是 素戔嗚スサノオ神 欲奉辭 日神 《天照大神アマテラスオオミカミ》 昇天之時 櫛明玉命クシアカルタマ 奉迎 獻以瑞八坂瓊之曲玉みずのやさかにのまがたま

於是おこころに 素戔鳴スサノオ日神ヒノカミ天照大神アマテラスオオミカミ》に辞奉げ 天昇る際 櫛明玉クシアカルタマ命 迎へ 瑞々八坂瓊曲玉献ず


素戔鳴神 受之 轉奉日神 仍 共約誓 即感其玉 生 天祖吾勝アカツカチ

素戔鳴神スサノオ是を受け 日神ヒノカミに転じて奉ぐ 仍って 共に誓い立て その玉に交わりて 天祖・吾勝アカツ尊を生むなり


是以 天照大神 育吾勝アカツ尊 特甚鍾愛 常懷腋下 稱曰腋子わきこ 《今俗 號稚子わかご 謂和可古わかこ 是 其轉語也》

是により 天照大神アマテラスオオミカミは 吾勝アカツ尊 養育し 溺愛し 常に脇下に懐き これを「腋子わきこ」と称す 《今俗に「稚子わかご」と書し「和可古わかこ」と云ふ 是其転じたる言葉なり》

テーブルデザインピンク2行 なんか表現が古くありません? 私の頭では、意味がよくわからないです……
このままでは、よくわかりませんよね? 以下は、【原文】の現代訳バージョンになります。
古語拾遺こごしゅうい』第1部 (素戔鳴神) 「従五位下」官位 斎部宿禰廣成いんべのすくね ひろなり (奈良・平安時代)

かつて、素戔嗚尊スサノオが、日の神、すなわち天照大神アマテラスオオミカミに辞意を告げ、天へと昇ろうとされた時のお話です。 そこに、櫛明玉命クシアカルタマがお出迎えになり、瑞弥栄瓊之曲玉みずのやさかにのまがたまを献上されました。 この貴重な珠は、出雲の玉作の祖先である櫛明玉命クシアカルタマから素戔嗚尊スサノオに渡り、後に天照大神アマテラスオオミカミに捧げられたのです。 そして、素戔嗚尊スサノオ天照大神アマテラスオオミカミは、共に神聖な誓いを立てられました。その誓いから、天祖吾勝尊アメノオシホミミが誕生されたのです。 天照大神アマテラスオオミカミ吾勝尊アメノオシホミミを溺愛し、常に自らの脇に抱えていました。このため、彼は「脇子わきこ」と呼ばれていたのです。 時が流れ、奈良時代には、「脇子わきこ」は「稚子わかこ」と呼ばれるようになりました。 これは、元の言葉が時代と共に変化した結果でございます。

📼 作者の斎部廣成いんべの ひろなり 一人語り風

この部分は『古事記』では、より物語性を増した話に書き換えられましたな。 同じ部分が『古事記』ではこのように変化しておりますな。

常に泣いてばかりの素戔嗚スサノオ様が「ママに会いたい」とワガママを言ったことに怒ったイザナギ様が「もういい!」と突き放したことで、スサノオが最後の挨拶に高天原に行かれた。

その時の天照大神様は「スサノオが天界に攻めてきた!」と勘違いをされて、潔白さを証明するために、二人で誓約を交わした。 ……とまあ、このような描写になっておりますが、今回の話がその『元ネタ』でございますな。   ・    ・  さてさて、今回の内容でございますが、先ほどの、髪飾りの宝石職人、櫛明玉命クシアカルタマがまたご登場。 今回の話も、ご先祖様の『古文書』の時点で完全なる物語なので、話の流れにいろいろ矛盾が発生しておりますが、作者の意図を説明いたしますと…… 【実際に起こったエピソード1】

神武天皇の東征時に数年滞在していた岡山の地で、行動を共にしていた素戔嗚様が、日本古来の『おのころ島』の王の娘(特別な珠)を妻にもらい受け、彼女と濃厚接触があって…… そこでお生まれになったのが、天孫様。

【物語の設定では?】 神話の中では、イザナギの孫と描写されてます。 実際には『神武天皇』の孫として生まれたのですが、奈良に向かう東征の最中で、二人には危険な旅がこれからも続くので、皇女様である卑弥呼様(物語の中では天照大神の役名)が引き取って溺愛した。 (卑弥呼は神に遣う身のため、生涯未婚だった。そのため我が子のように溺愛) 【実際に起こったエピソード2】

宝石を生みだす職人の櫛明玉命クシアカルタマが「胎児の形」と「勾玉」(本来は陰陽のマーク☯から来てる形)の形が似てることから、祝いの特大の勾玉を献上した。

【物語の設定では?】 事実を並べただけでは物語にならず、単なる記録史になってしまうので、ここに『神話風』のエッセンスを盛り込んで、2つを混ぜ合わせて書かれたのが、今回の書ですな。 今回の書を元に『古事記』の方では物語を拡張し、あのような話に発展したのでございますな。

🎓 『古語拾遺』を理解する、分かりやすい解説

『古語拾遺』の神話部分は、斎部家代々の『古文書』を書き写しています。 この『古文書』は『古事記』よりも起源が古く、『物語化』される以前の『古事記』の構想段階初期バージョンの構想みたいな扱いです。 この部分、『古事記』では、

素戔鳴神が天界に上がると、天照大神は彼を疑い、武装して出迎えた。 素戔鳴神は悪意がないと説明し、二人で神々を生み出す儀式を行った。 素戔鳴神の剣からは女神を、天照大神の宝珠から男神を生み出し、最終的には交換で和解。

と、原形と見比べると、驚くほど『神話的な見せ方』がうまくなっていて、話の規模も膨らんでるわけです。   ・    ・  ちなみに、天祖吾勝アカツカチ尊も、天忍穂耳命あめのおしほみみのみことも、どちらも『神武天皇』のことを指すわけですが、 原形の名前は、官位をつけて日本一名前が長くなった『関白太政大臣従一位豊臣朝臣秀吉』もビックリの…… 正勝吾勝勝速日天忍穂耳命まさかつあかつかちはやひあめのおしほみみのみこと なんだこれ? というほど、長い…… この名前には、由来があります。

正に勝つまさかつ我が勝つあがかつ瞬時に勝つはやひ   ↳ 早く私の導きが聞き入れられるよう 天の教えあめのおしほ耳で聞くみみみこと   ↳ 天の教えを聞きながら、神意に沿って動いている帝

ということです。 このあたりは、日向国の民間伝承にも、初期に皆を導こうとしたものの、説得までにいろいろあったことを連想するような『神名っぽい名』がいくつか……

❆ 正勝 吾勝 勝速日マサカツアカツカチハヤヒ 天之忍穂耳 命アメノオシホミミ   ↳ 正に勝つまさかつ我が勝つあかつかち瞬時に勝つはやひ天の教えあめのおしほ聞くみみみこと ❆ 天邇岐志アメニギシ 国邇岐志クニニギシ 天津日高日子アマツヒダカヒコ 番能ホノ 邇邇芸ニニギ   ↳ 天握しく・国握し・天津日高彦     万能の・天もる国もる皇(ニニギ) ❆ 天火明命アメノホアカリ   ↳ 天の帆・灯り(舟で救いにやって来た者たち) ❆ 天石門別神アメノイハトワケ   ↳ 天の重い岩のような収穫の山を分け与えるよ ❆ 天忍日命アメノオシヒ   ↳ 天の教えに沿って ❆ 天津久米命アマツクメ   ↳ 天の稲作法の豊作田園にするから ❆ 都夫多都御魂ツブタツミタマ   ↳ 粒の立つ、お米を栽培するから ❆ 底度久御魂ソコドクミタマ   ↳ そこから退きなさい、元の所有者たちよ ❆ 猿田毘古神サルタビコ   ↳ 去る田の彦(田園の所有権・新政権に変更)

NEXT『古語拾遺』第1部 先祖の古文書の筆写 その5








対面セッション



SNS

↑