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『古語拾遺』の原文の構成は、
【原文の構成】
このようになってます。
今回のページは『古語拾遺』の完全訳シリーズの一部です。
ページ単体の訳だけでなく、全体像はどうなってる? と気になったときは、
全体メニューか、
最初の1ページ目に戻ってみてください。流れが見えると、内容がぐっと分かりやすくなります。
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▶ 古語拾遺の全体解説(第1ページ)
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今回は、『古事記』に出てくる昔話
『やまたのおろち伝説』の原形です。
こちらが初期バージョン。そして『古事記』側で知られている神話は、ここから話を膨らませたことがうかがい知れるわけですが、
初期構想の時は、『クシナダ姫』や『お酒飲んでグースカピー』の話はなかったようですね。
すぐ右下の
⇲ リンクから、
『古事記』の該当記事 に飛べますので、両者を見比べてみると、どの部分をどう変化させたか? わかりますよ。
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【原文と直訳】(八岐大蛇 物語の原形)
素戔鳴神 自天而降到於 出雲国 簸之川上
以 天十握釼
《其名 天羽々斬 今 在石上神宮 古語 大虵謂之 羽々 言斬虵也》
斬 八岐大虵
其尾 中得 一靈釼
素戔鳴神は天より降りて 出雲国の簸の川上に至る
天の十握剣を用いて
《その名は天羽々斬 今は石上神宮にあり 古語では大蛇を「羽々」と言い 「羽々斬」とは蛇を斬ることを意味する》
八岐大蛇を斬る
その尾の中から一振りの靈釼を得る
其名 天叢雲《大虵之上 常有雲氣 故以爲名
倭武尊東征之年 到 相模国 遇野火難 即 以此 釼薙草 得免 更名 草薙釼 也》
乃 獻上於天神也
その名は天叢雲《大蛇の上には常に雲気があり 故にこの名あり倭武尊が東征の年 相模国にて野火に遭い この釼で草を薙ぎ逃れ 更に名を草薙釼と改めた》
これを天の神々に献上す
然後 素戔鳴神 娶国神女
生 大己貴神
《古語 於保那武智神》
遂就於根国矣
然る後 素戔鳴神は国の神女を娶り 大己貴神《古語では於保那武智神》を生む
遂に根の国に就く
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これ八岐大蛇 の物語?
どんなお話なんですか? |
皆さんがよく知る、『やまたのおろち』という昔話ですが……
読んでみると、この時代の『原形』のほうは、いろいろ設定が違います。
以下は、【原文】に対する現代訳バージョンになります。
『
古語拾遺』第1部
(八岐大蛇 物語の原形)
「従五位下」官位
斎部宿禰廣成 (奈良・平安時代)
かつて、素戔嗚尊という高貴なる神が、天より降り、出雲国の簸の川上にお着きになりました。
この神は、天の十握剣(別名「天羽々斬」)をお使いになって、恐ろしい八岐大蛇を退治されたとのことです。
この剣は、現在、石上神宮にて大切に祀られております。
古の言葉においては、大蛇を「羽々」と申し上げ、その「羽々斬」とは、まさに蛇を斬ることを意味します。
素戔嗚尊は、八岐大蛇の尾より、神々しい剣を発見されました。その名を「天叢雲剣」と申します。
大蛇の上には常に雲が立ち込めておりました故、この名が付けられたのでございます。
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倭武尊の関東討伐の際、相模国にて野火に遭遇された時、彼はこの剣を一振りして草を刈り火から逃れられました。この由来により、「草薙剣」と名を改められたのでございます。
素戔嗚尊は、この剣を天の神々に献上されました。
その後、素戔嗚尊は、国の神女とご結婚され、大国主神(古語では〝大名持ちの神〟とも)をお授かりになりました。
そして、根の国にて、穏やかな日々をお過ごしになられたのでございます。
非常にアッサリしておりますが、これを見ると分かるように、実は素戔嗚様ではなく、『神剣』の方が主人公なのでございます!
この時代、とても素晴らしい『霊剣』を譲り受け(神武天皇が東征の最後に、熊野の高倉下殿より譲り受けた横刀)、威厳を増すエピソードのために、何か伝説がほしい。そこで……
〝天界追放〟となった素戔嗚尊が八岐大蛇という魔物を倒し、その魔物の力の源泉となる『霊剣』を手に入れた。
時代がたち、倭武尊がこの『霊剣』を手にしていたときに奇跡が起こり、『神剣』に格上げされた。
このような話が、急遽作られたのでございます。
素戔嗚尊の
八岐大蛇退治の話は、とってつけた、架空の話でございますが、それを後の作家が、この原形を元に
『やまたのおろち伝説』という壮大な英雄物語として話を膨らませ、それが『古事記』にも採用され、現代の子どもたちも知る有名な『昔話』の1つとなり、今に至るわけでございます。
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なお、
大己貴神とは、正しくは
大名持ちの神 (戦国時代の〝大名〟の語源)のことを指しまして、出雲国の豪族の王は、
古代日本に移り住んできた、『中国の王族』のことでございますな。
大王様である『神武天皇』ほどではないにせよ、強大な権力をお持ちの方だったので、皇太子である
素戔嗚尊に直接、〝国譲り交渉〟に出向かせたのですが……
実際のところは、交渉するどころか
〝泣いてばかり〟で、しかも
〝悪さばかり〟(因幡の白兎の兄)して周りに迷惑をかけて……というのが、事実の方の一連の流れでございます。
ですので、この『古文書』の設定では、
素戔嗚尊様が、
大国主神の父親……
ということにされてますが、実際には〝
大名持ちの豪族の王〟が最初にいて、
素戔嗚尊様は交渉失敗。
後からヘルプに来た姉上様の時代に
『出雲の国譲り』の交渉がまとまったのでございます。
皆さんがよく知る、『やまたのおろち』という昔話ですが……
この物語の原形が『古事記』に載っているのは有名な話です。
そして、その
『古事記』バージョンでは、『やまたのおろち』の話は〝神剣〟ではなく〝素戔嗚尊〟が主人公になっています。
〝神剣〟の威厳作りのためのオマケだった部分が、後から拡張されて、物語性をアップさせた内容に書き直されているわけですね。
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今まで、『古事記』を
「神話時代の事実が綴られているモノ」と信じて、一生懸命『古事記』の中身を分析していた人にとっては、ややショックな話かもしれませんが、
そもそも『古事記』の中身は、最初から『神話の記録保存』の意志などなかったのです。
だから『古事記』の中身をいくら丁寧に分析しても、残念ながら、日本の神様の真実は、ほとんど見えてこない。
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なんか驚きの内容なんですけど……
でもなんか、納得もしてる自分もいますね。ああ、やっぱりねって…… |
今回の『ヤマタノオロチ伝説』を見て分かるように、民間伝承というのは自然発生的には起こらないのです。
頭のイイ、天皇側近の貴族の判断で、仕掛けられているのです。
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まずシナリオを書く人がいて、それが完成したら〝村の長老〟を『
語り部』にさせて、長老が毎日同じ話を村人に話すようにします。
なぜ長老なのか?
一番の長老が語っていれば、昔を知らない若い人は、
嘘も100回言えば真実になる
という作戦に、コロッとやられてしまうわけです。特に若い人がターゲット。
だから、長老から、若い人に対しては、繰り返しこのような話が続きます。
第1段階
『語り部』の長老に毎日同じ話を語らせ
村の人に周知徹底させる。
第2段階
伝統の維持。この話を絶対に途絶えさせないよう
教育し、伝統を守り継ぐよう圧力をかける
大事な話だと信じ込ませ、
「この話は、永遠に語り継がねばならぬ」と教育し、古くからの伝統を守り続けるよう圧力をかける。
最初はたった一人の『語り部』が話し始めた内容も、3代経つ頃には生き証人は誰もいなくなり、誰もがその話を率先して子供に聞かせるようになり、絶対に途絶えさせてはならない『昔から伝わるこの土地の大事な神話』となる。
ここまでいけば、プロジェクトは成功です。
なぜこんなことをしたの? いい物語が出来たから?
『神武天皇』は
〝和をもって尊しとなす〟という方針を示すために〝大和〟という言葉を選んだのですが、それは側近や子孫たちにも徹底し、身分制はあったものの、武器による圧政は好みませんでした。
しかし、規律が緩めば、いずれ風紀は乱れます。
地方豪族の反乱も招きます。
ですので、武器ではなく信仰心によって、民を率いていたのです。
ペンは剣よりも強し!
天皇側近の貴族たちは、この方法が『民衆の反乱』を防ぐために有効だと、知っていたのでした。
もし民衆が、目の前の支配者のことを神様扱いで尊敬してくれれば『反乱』の頻度はグンと減ります。
だから、英雄伝説はこれに限った話ではなく、徳川家康だって自分を神と称して、尊敬を集めようとしました。
わりと最近でいえば、ミサイルが大好きな〝北の将軍様〟も、そうでしょう?
将軍様になった途端、英雄伝説が大急ぎで作られ、子供に対しても学校で周知徹底。
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・
『やまたのおろち伝説』の内容を見ると、『古事記』の内容に比べて薄い。
練り上げが足りず、偽物感がある。
だから多くの人は、
「誰かが何かテキトーなものでも書いたのかな?」 と思うかもしれないですが、逆なのです。
こちらが本物で、『古事記』のほうが偽物。
歴史的絵画で言うなら『モナリザ』のポーズ案を悩んでいた頃の、ダヴィンチのデッサンが〝奇跡的に一枚〟出てきたようなもので、大変な発見なのです!
『やまたのおろち伝説』は、その後、どのように改編を重ねて、あの古事記の形にいきついたのか?
丹念に研究すれば、その過程が見えてくるわけです。
【古事記で追加された部分】
・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
・最初に泣いている両親と遭遇
・毎年一人ずつ食べに来る(物語性の追加)
・オロチには苔が生え、血の色(ヤバそうな描写の追加)
・八重垣と酒の準備の描写(出雲流派の儀式の追加)
・酒を飲んでグースカピー(大王軍の土雲の逸話から拝借)
・出雲に宮を建てて句を読んだ(教養あるエピソードの追加)
後から追加された部分は、物語性の追加が上手いのです。
明らかに、時代が後の人の改編が見て取れるのですが、
『大王軍の土雲の逸話』を拾ってるところを見ると、口伝伝承で勝手に転がったわけではなく
『運営側』による公式アップデートなのです。
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・
『古事記』を絶対的に正しいもの! と思い込んでしまうと、こういう矛盾に気づかない。
実際、『出雲風土記』には、〝やまたのおろち伝説〟なんてないのですよ。
『出雲風土記』をまとめた頃の土地の名士たちが誰も知らない土地神話が、後からポンと降りてきてるのです。出雲の地に。
もしも、
日本の神様の真実を知りたいと思ったら、『古事記』よりむしろ
『カタカムナの訳』のほうなのです。
あちらは、本物の『ご神託』をそのまま書き留めているものですから。
(だから『カタカムナ』のほうは奇跡報告が多数)